クリスマスツリーの飾り方から見える軽度発達障害児の特性について

息子が年長のときから、毎年12月に入ると一緒にクリスマスツリーの飾りつけをしています。今年で3回目。随分上手に飾れるようになりましたが、初めての年に、ややショッキングな飾りつけをした息子の特性は完全には消えていません。

息子のクリスマスツリーの飾りつけから垣間見れる軽度発達障害児の特性について考えてみたいと思います。

スポンサーリンク
スポンサードリンク

クリスマスツリーの飾りつけに見られる発達障害の特性

発達障害の特性があらわれていると思われる特徴に、次のようなものがあります。ほかにもあるかもしれませんが、息子の例を挙げてみます。

  1. 一か所にてんこ盛りに飾りつける一方で、全く飾りのない部分が広範囲にできてしまう。つまり「満遍なく」ができない。
  2. 同じ種類の飾りや、同系色の飾りを、狭い範囲に集めて飾ってしまう。やはり「満遍なく」ができない。
  3. 飾る順番に、理にかなわないこだわりを見せる。
  4. 一番目立つ正面側、誰も見ない後ろ側、目立ちにくい下側、などの区別がつきにくい。

これらについて、息子が年長のときは、私は何度も説明して良い方向に誘導しようとしましたが、全く理解すらできないようでした。私も説得を諦め、息子の好きなように飾らせました。(ある意味、型破りで独創的な飾りつけでしたが…)

小1のときは、私が繰り返し繰り返し説明して誘導すれば、なんとか上手な飾りつけに仕上げられました。

小2になる今年は…
私が説明しなくても「満遍なく」や「正面側に綺麗な飾りを持ってくる」などができるかな?と期待しましたが、それは難しかったようです。去年と同様、私が何度も説明して誘導することで、なんとか上手な飾りつけに仕上げられました。
ですが、今年の飾りつけの過程で、息子がどうして自分だけの力で上手な飾りつけができないのか、その原因を垣間見た気がしました。それは、息子の認知パターンや発達レベルと直結する話です。これについて、次項でお話します。

一方で、年長さんのときから息子にも出来ていたことがあります。
それは「特に綺麗な飾りと、普通の飾りの区別」「豪華で高級な飾りとそうでもない飾りの区別」です。というか、息子の感覚と私の感覚はほぼ一致していました。

センスの問題と能力(発達)の問題は別ですもんね…
息子のセンスは悪くないと思いました(親バカですが…)

上手に飾りつけができない原因とは

以下のようないくつかの原因が考えられると思います。
息子の場合は、これらが複合しているように思えます。

イメージのアウトプットが上手くできない

頭の中にある綺麗なクリスマスツリーのイメージを、目の前にある実際の小物を使って再現することが難しいようです。つまり、頭の中にあるイメージのアウトプットや表現が上手くないようです。

はじめは、私は、息子の頭の中にクリスマスツリーのイメージが出来上がっていないのではないかと疑いました。キラキラした綺麗な飾りなどの細部に気をとられ、全体的なイメージやバランスの認識が曖昧なのではないかと思ったので、「クリスマスツリーの形ってどんな形?」と尋ねてみました。すると、息子は「三角」と答えてくれました。予想に反し、私にとっての正解を答えてくれました。「何色?」と尋ねると、「緑色の木にキラキラが沢山ついて光っている」とも答えてくれました。

そうであれば、そもそも、クリスツリーの飾りつけを楽しみにしていた息子ですから、クリスマスツリーが「三角形の木にライトや綺麗な飾りをつけたもの」であることを本質的にもイメージ的にも理解できているはずだと思いました。飾りつけは今年で3回目なので、イメージは明確なはずだと…。

なのに、いざ飾りつけを始めると、どうして妙な飾りつけになってしまうのでしょうか…

オリジナリティを発揮したいのかとも思いましたが、「ママ、ここに飾っていい?」「こんな風に飾ったけど、どう?」としきりに確認してくるので、オリジナリティを発揮しようという意図は感じられません。

オリジナリティを出すことよりも、「街で見かけるような綺麗なクリスマスツリーを自分で作りたい」とか「去年作ったような綺麗なクリスマスツリーをもう一度作りたい」と思っているようなのですが、イメージ通りに再現する、真似たものを作る、ということが難しいのだと気づきました。

目の前にある色々な飾りと、頭の中にある綺麗なクリスマスツリーとがうまく結びつかない…どこにどう飾れば綺麗なクリスマスツリーになるのかがピンと来ない…

表現したいイメージはあってもその表現の仕方が浮かんでこない、そんなところに息子のつまづきがあるのでは…と感じています。

同じようなつまづきは、お絵かきの場面でも出てきます。

誰かが描いた絵を見ながら右から左に描き写すことは比較的できるのですが、「昨日の遠足のことを絵に描きましょう」のように、頭の中の記憶・イメージを元に絵として表現することは難しいのです。

ほかにも、粘土で動物を作るなど、頭の中にあるイメージに基づいて造形的な創作をすることも難しいです。頭の中にイメージはあるのですが…。あるからこそ、犬を見て犬だとわかり、馬を見て馬だと分かるのですが、犬を表現する、馬を表現することは難しいのです。

インプットはできていてもアウトプットが上手くできない…そんなところに、息子のつまづきはあるようです(本人は「つまづき」だと認識していませんが…)。

では、どうしてアウトプットが上手くできないのでしょうか…

一つには、次項でお話する細部への注視傾向ボトムアップ型思考が影響していると感じます。また、感覚統合の問題も関わってきていると感じますが、長くなりすぎるので今回は感覚統合の問題については省かせていただきます。

余談ですが、息子が学校の図工の時間に作る作品は、息子自身に説明してもらってもピンときにくい独創的(?)な作品ばかりです。中に新聞紙を詰めた四角い袋を持って帰ってきて、「『サメ』を作ったんだよ」と言われたこともあります。「ほら、ココに口があるんだよ。」と見せてくれた箇所は袋の口でしたが、その袋の口は、真ん中一か所をホッチキス止めして二つに分けられていました。「口が二つあるの」と言われ、「そうなんだ…面白いね~」と答えるしかできませんでした…。不思議で興味深いアウトプットの世界です。

細部に興味が集中しやすい

「満遍なく」が難しく、狭い範囲に集中的に飾りをつけてしまうのは、手に取った飾りや、たまたま目に入った飾りのついていない枝に意識が集中しすぎて全体的なバランスを見失いやすい、つまり、細部を注視して大局的な見方が苦手な息子の特性があらわれているのではないでしょうか。(この特性についてご興味のある方は、こちらも是非お読みください⇒軽度発達障害児が細部にこだわり大局的な捉え方がしにくい原因と改善方法

年長のときは、1箇所に10個以上の飾りを重ねるように飾りつけ、そこだけ盛り上がっていました。それは、塗り絵の仕方と同じでした。幼稚園時代の息子は、塗り絵をさせると、既に色を塗っているところを紙が破けそうなほど重ね塗りする一方、白いままのところが沢山残っている塗り方をしていました。

自分が扱う部分にピンポイントに注意が集中してしまい、全体像がぼけやすいのです。何かを表現しようとするとき、そのときに扱っている部分に注意が集中してしまい「全体像のなかのどの部分を扱っているか」という視点が薄れてしまうことは、的確なアウトプットを邪魔してしまう要素だと感じます。

小2になる今年も、狭い範囲に飾りが互いにくっ付くほど密集させてしまい、私が「こっちが寂しいからこの辺にも飾りをつけてあげて」と言って、スカスカなところに飾るように何度も何度も促しました。促せば「あ、そっか…」と言ってスカスカだったところに飾りをつけるのですが、次の飾りも、その飾りのすぐ隣にくっつくように飾る…を繰り返しがちでした。

飾りつけをするときの息子の視野は非常に狭くなってしまう…ということに、改めて気づかされました。

ただ、年長さんの頃と違うのは、促せば視野を広げて見れるようになったことです。視野の広げ方は習得しつつあります。飾りを手に取るたびに、目の前の空いている枝に吸い込まれるように視野が狭くなるようでしたが、私が声かけをすると、私の促しを理解して、自分で全体バランスをチェックしながら足りないところに飾る、ということが出来るようになっていました。私のアドバイスを理解できなかった年長さんの頃とも、私の言いなりに飾ろうとした去年とも違っていて、そこに息子の成長は感じ取れました。

積み上げ式思考(ボトムアップ型思考)の傾向が強い

クリスマスツリーの大きさと飾りの量から、どの程度の密集度で飾っていけばよいかを最初に判断することは子供には難しいはずです。

その場合、トップダウン思考ができるようになった子供であれば、満遍なく飾りながら徐々に隙間を埋めていく飾り方をするのではないでしょうか。「綺麗なクリスマスツリーを作りたい」という最終目標がしっかりと頭にあり、その目標に向かって必要な工夫や手順を自分なりに考えながら飾りつけしていくでしょう。

ですが、息子のような自閉傾向のある子供は、一つ一つ積み上げながら考えるボトムアップ思考傾向が強いので、まず、全ての枝に片っ端から飾りをつけようとし、飾りが足りなくなってはじめて飾りを移動させながら調整しようとするようです。「綺麗なクリスマスツリーを作りたい」という目標は持っていたとしても、その目標のためにどうすれば良いかが浮かびにくく、端から順に埋めていく、つまりボトムアップしながら考えようとするようです。

息子はツリーの下の方から飾ろうとするのですが、それも、端から順番に塗りつぶしていく感覚で飾りつけをしたいというボトムアップ型思考の表れだと感じます。「どこに飾れば目立つかな?」とか「この飾りはどこがいいかな?」という発想よりも、端から順番に…という一見無意味なこだわりに頼りがちとも言えます。

ワーキングメモリが機能しにくい

クリスマスツリーを綺麗に飾り付けしようとすると、考えるべきことはいくつかあります。

どの飾りをどこに飾るべきか、
飾りの種類が偏っていないか、
飾りの大小のバランスはよいか、
飾りの色のバランスはよいか…

これらを同時に考えながら飾りつけをしていくのですから、ワーキングメモリを使うことになります。最終的に目指す完成のイメージがある場合は、そのイメージを維持しながら作業するためにもワーキングメモリを使います。

ところが、発達障害を抱えるお子さんの中にはワーキングメモリが機能しにくいお子さんもいます。ですから、色に集中しているとバランスが崩れ、バランスに集中していると色が偏る…といった特徴も出やすいのかもしれません。

また、ワーキングメモリが機能していても、そのワーキングメモリをうまく駆使できなければ同様の問題がおきます。息子の場合、ある程度に機能するワーキングメモリを持っているようですが、不慣れな作業で緊張していたり、喜怒哀楽の感情が高ぶり過ぎている場合は、ワーキングメモリが著しく機能しなくなるようです。脳の中の前頭葉が偏桃体に負けてしまうためだと私は思っています。

クリスマスツリーの飾りつけは、息子にとってはとてつもない楽しみなのです。毎年、かなりの意気込みで飾りつけを始めるので、偏桃体が非常に興奮していることは間違いないようです。そのようなときは、ワーキングメモリがうまく回らず、視野はどうしても狭くなると感じます。

他者目線が分かりにくい

自分中心の世界に入りがちな息子は、第三者にとって、つまりツリーを見る人にとってどこが一番目立つ場所か、という視点を持ちにくい傾向があります。つまり「正面がどこか」が分かりにくいようです。息子にとって正面とは、そのときに自分が見ている場所なのです。

そのため、たまたま息子が立っている位置から見える部分にだけ飾ろうとしたり、誰も見ない後ろ側に回りこんだかと思えば、そんな後ろ側に沢山の飾りを付けようとしたりします。

ただ、この傾向は今年は薄らいでいました。多少は残っていましたが、私が「ここは目立たないよね?お部屋に入ってきた人はツリーのどこを見るかな?」と言うと、正面の中央部分に飾りをつけ始めました。

誰かに指摘されなければ自分中心の視点で見がちですが、指摘されれば調整できるようになったところが息子の成長だと感じます。

親の関わり方について

手っ取り早く上手にクリスマスツリーを飾れるようにするには、綺麗なクリスマスツリーの絵や去年の飾りつけの写真を用意し、それを見ながらそっくり真似するように飾らせてあげれば、飾りつけのハードルを下げてあげることができるでしょう。

ですが、それだけでは子供の成長を促す効果は限られてしまうのではないでしょうか。

クリスマスツリーの飾りつけだけを上手にできればよいわけではないですもんね。

クリスマスツリーの飾りつけに見られる特性は、あらゆる場面に出てくるものです。

例えば(息子の場合の話ですが)・・・

  • 絵本を読んでいても、主題と関係のない細部(枝葉末節)に気を取られ、主題を捉えられていない…
  • 作文や日記は羅列型になり、段落分けや小見出し付けが苦手…
  • ピアノの練習でも勉強のドリルでもビデオ鑑賞でも、何でも最初から順番にやりたがるため、最後まで一気に終えてしまわない限り、最初の部分や前半ばかりを繰り返すことになり進歩しにくい…
  • 片づけをするときも、一つ一つ持っては運び、持っては運び、を繰り返し、いくつかを纏めて持って運ぶという発想が出てきにくい…など

ですから、常日頃から、視野を広げて大局的見方ができるように、トップダウン的思考ができるように、客観的な他者目線を意識できるように、働きかけていくことが重要だと感じます。

具体的には、細部に気を取られて視野が狭くなりやすい子供には、複数の事柄に共通する点を見付けさせたり仲間分けクイズスリーヒントクイズなどで「下位概念⇄上位概念」「具体⇄抽象」「外観⇄機能」を行ったり来たりするような言葉かけや思考トレーニングをすることで、視野の広げ方が少しずつ身についてくるのではないかと思います。

また、何のためにやっているのかを意識しにくく、端から順番に、とか、最初から順番に、という塗りつぶし的な方法に頼りやすいボトムアップ型思考の子供には、常日頃から何かの作業をするときに、その目的を明確に伝えそのためにどうすればよいか、を一緒に考えて、できれば箇条書きにして示してあげる、などのお膳立てが有効だと思います。

そして、目的意識をもって手順を考えたり工夫したりするトップダウン的思考が回り始めれば、脳の中の前頭葉が機能し始めることになり、興奮しやすい偏桃体をコントロールする力を高めることにもつながるのではないでしょうか。

偏桃体をコントロールできれば、前頭葉のワーキングメモリの機能がスムーズになり、複雑な作業をこなす力も高まり、好循環が期待できます。

(さまざまな脳への働きかけと軽度発達障害の脳機能改善については、ぜひこちらもご覧ください⇒「軽度発達障害児の脳に働きかけるときのポイント」)

もちろん、言葉でいうほど単純でも簡単でもありません。改善には時間がかかりますし、親も24時間常に意識し続けることは不可能です。しかも、お子さんの年齢や個性に応じて求められるアプローチは違ってきます。

長い目で少しずつ、少しずつです。

息子の場合、本当に少しずつですが、幼稚園時代のような視野の狭さやこだわりの強さは随分と改善されてきました。クリスマスツリーの飾りつけにおいても、私の誘導を理解して気付きが生まています。気付きが生まれているので、あとはそれをもう少し後押ししてあげれば、大局的見方も、トップダウン的思考も、他者目線も、自分の力で展開していけるようになるのでは…と期待しています。

来年のクリスマスツリーは、私が助けなくても上手に飾れるようになるかな?

たかがクリスマスツリーの飾りつけ、されど…です。

スポンサーリンク
スポンサードリンク
スポンサードリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする