軽度発達障害児の衝動性・癇癪・パニックを改善する方法(2)

前回の記事では、「改善する方法(1)」として「子供を徹底的に支援・サポートする」ということについて考えてみました。

今回は、続編「改善する方法(2)」として「前頭葉への働きかけ」と「ボディイメージの強化」について考えてみたいと思います。

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前頭葉への働きかけ

脳の中で、偏桃体の興奮を鎮めたりコントロールする役割を担う部分が前頭葉(なかでも眼窩前頭野)です。偏桃体が感情を司る領域であるのに対し、前頭葉は理性・思考・意識を司る領域です。

ですから、前頭葉を鍛えれば、理性の力で衝動性や癇癪・パニックをコントロールして和らげることができると考えられます。

そもそも、偏桃体は3歳までに成長を完成させるのに対し、前頭葉は大人になるまでゆっくり成長していく部分なので、子供は誰でも前頭葉が発達途上にあるのですが、発達障害を抱える子供は、前頭葉に機能障害があると言われるので、その機能を少しでも回復するように鍛えるトレーニングは意味があると思います。

では、具体的にどのようにすればよいのでしょうか。

息子の脳機能改善を目指して試行錯誤してきた経験から、子供の前頭葉に働きかけるにはいくつかのポイントがあることが分かってきました。そのポイントの概略については「軽度発達障害児の前頭葉に働きかけるときのポイント」で纏めていますので是非ご覧ください。

今回の記事では、そのなかでも特に癇癪・パニックに有効だと思う働きかけについて、もう少し詳しく見ていきたいと思います。

セロトニンの分泌量が増えるように働きかける

セロトニンは、抑制系の神経伝達物質で、興奮系の神経伝達物質であるドーパミンの分泌量を調整する働きがあります。喜怒哀楽の感情が高ぶっているときや何かに集中しているときは、脳内でドーパミンが大量に分泌されるのですが、このドーパミン分泌を抑制して平常心に戻す役割をセロトニンが担っています。

これだけでも、癇癪・パニックを予防・改善する効果があることが分かりますが、さらに、前頭葉の機能改善のためにも重要な働きをします。

前頭葉が最もよく機能するのは、ドーパミン量が過不足なく適量であるときなので、ドーパミン量を適量に調節してくれるセロトニンは非常に重要なのです。

さらに、前頭葉の脳神経発達を促す働きもあると言われています。
発達障害児の凍てついた前頭葉をセロトニンという陽だまりが溶かしてくれるようなイメージだと、私は個人的に思っています。

一方で、発達障害児はセロトニン不足の傾向があるという指摘があります。また、セロトニンを分泌する神経を強化するには2~3ヶ月かかると言われています。即効性はないのです。

ですから、子供のセロトニン分泌が促されるように、親や周囲の大人は常日頃から心がける必要があります。

セロトニン分泌を促す効果があることとして次のようなことが挙げられます。詳細は是非こちらもご覧ください⇒「セロトニンを増やすためのポイント

  • 日光を浴びさせる
  • スキンシップをはかる
  • 子供に寄り添いながら視線を合わせた会話をする
  • トリプトファンなどを含む食事をとらせる
  • リズム運動をさせる

ワーキングメモリを鍛える働きかけをする

癇癪・パニックとの関係において、ワーキングメモリ強化に期待する効果は、『前頭葉に求められる能力』を下支えする効果です。

一般的に、ワーキングメモリを鍛えるためには、トランプの神経衰弱や暗算、家事などが良いと言われたり、Nバック課題などの脳トレが良いと言われたりします。いずれも、並列処理能力切り替え能力が求められ、そこでワーキングメモリが鍛えられます。

確かに、ワーキングメモリの機能が低い、あるいは、インプットされる情報に対してワーキングメモリの処理能力が相対的に低くなっていると思われるお子さんについては、このような方法でワーキングメモリの機能を高めることは必要で有効だと思います。

ですが一方で、暗算や算数が得意なのに、あるいは、脳トレで好成績なのに癇癪を起こしやすい…という子供もいます。息子もこのタイプです。

結局は、ワーキングメモリだけを向上させても意味がなく、ワーキングメモリと『前頭葉に求められる能力』とを結びつける必要があります。

そして、その『求められる能力』とは…
大雑把に言えば、目の前に存在しない事柄について考える「想像力」だと思いますが、詳しくは次のようなものだと考えます。

自分の気持ちを振り返って把握したり、
自分の気持ちを
脇に置いて別の考えを取り入れたり、
気持ちを切り替えたり、
自分を客観的に見たり、
目先のことに囚われず長期的展望を持つ力
です。

このような能力が持てるように子供を少しずつ誘導できれば、子供のワーキングメモリも自ずと鍛えられることになるでしょう。

ですから、暗算をさせたり、脳トレをさせるなどしてワーキングメモリの能力を高めることも大切ですが、合わせて、親による適切な誘導、つまり「言葉かけ」「働きかけ」が非常に重要になってきます。

次に、その「言葉かけ」「働きかけ」について見ていきます。

親による日頃の「言葉かけ」と「働きかけ」

日頃から、子供との会話において次の点を心がけるとよいと思います。

  • 子供の感情や考えを言葉にして表現し、共感する(セリフモニタリング力、言語化と寄り添い)
  • 相手から、あるいは周囲からどう見えるかを言葉で説明する(客観的な視点)
  • 決めつけないで幅をもたせた言い方をする(柔軟な考え方、「絶対…」「当然…」「…べき」などの言葉を避ける)
  • 子供の考えとは異なる考えと理由も言う(多面的な見方、柔軟な考え方)
  • 長期的視野に立った見方と近視眼的な見方の両方を説明する(長期的展望)

また、積極的な「働きかけ」として、次のような方法も有効だと思います。

  • 読書をさせる(多面的な見方、想像力)
  • 読み聞かせをする(多面的な見方、想像力)
  • ことわざや慣用句など、様々な表現力や言語力をつけさせる(セルフモニタリング力)
  • 決まった答えがない質問や、複数の答えが考えられる質問(オープンクエスチョン)をする(柔軟な思想、想像力)
  • 今日行ったこと、今日思ったこと、今日嬉しかったこと、など、子供にその日の行動を振り返って説明させる(セルフモニタリング力、客観的な視点)
  • 日記を書かせる(セルフモニタリング力、客観的な視点)
  • 自分の意見と反対の意見をあえて言わせ、その理由も考えさせる(多面的な見方、想像力)
  • 仲間分けクイズを行うとき、1回目とは異なる視点で2回目の仲間分けをさせる(多面的な見方、切り替え方)
  • 1ヶ月か数か月先の計画を立てさせて、そのために何か準備や努力させる(長期的展望)

ほかにも色々考えられますが、子供の年齢や性格によって、向くものと向かないもの、出来るものと出来ないものとがあると思うので、それぞれのお子さんに適したレシピを考えてみてくださいね。

いずれにしても、5つのポイント、セルフモニタリング力、多面的見方、客観的視点、柔軟な考え(切り替え)、長期的展望、を念頭において、子供の前頭葉の中に種を撒くイメージで、繰り返し繰り返し粘り強く働きかけを続けていくことが大切だと思います。

ボディイメージの強化

固有覚の鈍麻が見られる子供の場合、自分のボディイメージが掴みにくくなり、自我の成長が遅れると言われています。

自我の成長が遅れると、前頭葉の発達も遅れ、衝動的になりやすく、癇癪・パニックも起こしやすくなると考えられます。

では、ボディイメージを強化するには、どうすればよいのでしょうか。

固有覚を刺激する次のような方法が有効となります。

  • 手、足など、自分の体の各部分に視線を向けさせると同時にその部分を強く触る
  • 全身に力を入れる練習をさせる
  • 全身を使う運動をさせる。(鉄棒、マット運動など)
  • 全身を意識した運動や遊びをさせる。(ジャングルジム、トンネルくぐり、かくれんぼ)

これらに限らず、走り回ったり、飛んだり跳ねたり、バランスをとったり…という様々な運動や遊びがボディイメージ強化につながります。

そして、運動は前頭葉の活性化にも非常に効果的です。

発達障害を抱える子供は、運動が苦手な子も多いのですが、できるだけ楽しみながら体を動かすように促せるといいですね…

まとめ

軽度発達障害児の衝動性・癇癪・パニックについて、その原因から改善方法を考えてきました。

子供を徹底的に支援・サポートすることによって、子供の日頃のストレスを軽減し、親子の絆や信頼関係を深めることができ、偏桃体の過敏性の緩和につなげていくことができます。

また、親に徹底的に支援・サポートされて安心感を得ることができ、さらに、ボディイメージを掴むことができた子供は、自我の成長が促され、前頭葉が成長しやすい環境が整います。

そして、そのような子供の前頭葉に適切な働きかけを続けることにより、子供のセルフモニタリング力、多面的な考え、柔軟な考え、客観的視点、長期的展望を持つ力が高まり、偏桃体をコントロールする力がついてくることが期待できます。

そう願って、親は粘り強く、一歩進んで二歩下がることがあっても諦めず、働きかけを続けていきたいですね…

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