発達障害児の脳と心について

この記事は、私の7年間の子育てで学んだこと、感じていること、反省していること、をまとめたものです。「こんなこと、とっくに知ってる、分かっている」と言われてしまう内容かもしれません。

また、息子よりも症状が重く、もっと大変な子育てに毎日奮闘しているお母さん達には、単なる理想論、机上の空論にしか思えない内容かもしれません。

ですが、私にとっては、この記事は、自分の頭の中を整理するのに非常に役立ち、「この努力は何のためにやっているのか」ということを具体的にイメージし再認識することによって、実際の子育てにも大きな成果が出ています。

記事の内容は、耳にされたことのある内容かもしれませんが、頭の中を整理する…くらいの意味で読んでいただけたらと思っています。

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発達障害児の脳について

発達障害の多くは脳の機能障害が原因ですが、特に、脳の前頭葉、なかでも前頭前野の機能障害が原因と言われています。この点については、既にご存知の方も多いと思いますし、多くの文献でも解説されていますので、ネットで「発達障害、前頭葉」で検索していただくと多数挙がってきます。

(詳しくは、例えばこちらをご参照ください⇒発達障害ガイド「発達障害と前頭葉」

この前頭葉の働きについては、次のように言われています。

前頭葉は社会性を形成するために重要な役割を担っており、衝動の抑制や欲望より理性を優先させるなど、本能のみに基づかない理性や道徳的な行動を可能にし、まさに野生動物とは違う人間らしい思考をもたらしています。

前頭葉の働きと鍛える方法『前頭葉の働きとは』よりー

つまり、前頭葉は、思考、情動(喜怒哀楽)、創造、判断など、脳の機能全体を司る最高司令部的な存在であって、この機能がまさに、動物的ではない人間らしさの根源と言えるようです。

軽度発達障害児が、衝動的、直情的になったり、不注意となったり、思いつくまま行動したり、こだわりや極度の不安を見せるのは、この前頭葉による「理性的な回路」が正常に機能せず「本能的な回路」がつながりやすいため、と考えられます。例えば、「風が強い⇒怖い」となるのは原始的な回路がストレートにつながった本能的・衝動的な反応ですが、「風は強いけど、この程度の風で人は飛ばされないし、周りの人も普通に歩いているから大丈夫、怖くない」と判断できるのは、理性の回路が働いたことで本能的な反応を抑えることができたから、と言えるようです。つまり…

衝動的で直情的な息子は

野生動物的?

うすうす感じていたことですが、親として、としてとてもショックでした。

そうであれば、この前頭葉を鍛えて理性的回路を強化し、息子を「理性ある人間らしい人間にしたい!」と思うわけです。

ここから、息子の脳機能改善、つまり、前頭葉の鍛錬が始まりました。

発達障害児の心について

発達障害児は「自我が弱い」という言い方もされます。これは、心理面、精神面の弱さを指摘した表現です。

ここでいう「自我」とは、一般に言われる「自分」「自己」という意味よりも、フロイトが精神分析学において提唱した「エゴ」のことで、私は次のように理解しています。

「自我(エゴ)」とは、主に意識的に働いて自分の行動を決める心の働きのこと。「本能、欲求(エス)」を現実の状況に合うように調整する働きや、「本能、欲求(エス)」と「倫理観、道徳観など(超自我)」との間で起こるバトルを調整する心の働きのこと。

拙い解釈で正確ではないでしょうが、大きく間違ってはいないと思っています。

このブログで「自我」というときは、上記の意味で使わせていただきます

一般的な人であれば、生後間もなく自我の根っこができ、2、3歳ごろまでには芽を出します。その後、言葉が発達し、意識的に行動する力や思考する力がつくに伴って、「本能、欲求」をコントロールする機能として自我も成長していくようです。

(詳しくは、こちらをご参照ください⇒ 無意識を知ろう「自我(1)」

息子とお友達を見ていると、年少時代にはすでに自我の強い子と弱い子にはっきり分かれていて、小1になる現在では、息子はやはりダントツに自我が弱いと言えます。

例えば、目の前に大好きな飴がたくさんあるとき、全部食べてしまう子は自我が弱い子、明日からの分も残しておこうとする子は自我が強い子、宿題なんかしないで先に遊ぼうとする子は自我が弱い子、先に宿題を済ませる子は自我が強い子、と言えるようです。

前頭葉と自我の関係

心と脳は密接に関係していますよね。「自我」が弱いのは、単純に言ってしまえば、「前頭葉」の働きが弱いから、ということかもしれません。

生来、前頭葉の機能が低い発達障害児は、自我も弱いわけです。

ただ、前頭葉を鍛えれば必ず自我も強くなるのでしょうか・・・。ちょっと違う気がしてきています。

前頭葉の鍛え方にも色々あります。私も、様々な面から息子の前頭葉の鍛錬を心がけてきました。

ですが、最終的に「自我が強くなる」ような鍛え方をするには、常日頃からある心掛けが欠かせないと感じています。それは、次の3つです。

  1. 子供が感情的になる火種を消す  ⇒ 本能的回路のスイッチを入れさせない
  2. 親も感情的にならない工夫をする ⇒ 本能的回路を鎮める
  3. 子供に寄り添い安心させる   ⇒ 理性的回路の成長を促す

何をいまさら当たり前のこと・・・と言われそうですね。

ですが、今更ながら、これがどうして大切なのかを具体的にイメージしながら再認識することが、私には重要で効果的でした。

親がこの3つの心掛けを意識しなければ、発達障害児の前頭葉は、効果的に鍛えられるための環境が整わないと思っています。

発達障害児の自我を育てるには

子供が感情的になる火種を消す(怒らせない)

発達障害児の多くは、こだわりが強かったり、衝動的であったりして、怒りっぽい傾向にあります。自我が弱いので、何か気に入らないことがあったり、うまくいかないことがあると、泣きわめいたり、癇癪を起して怒ったり、あるいは、手が出る、物を投げるなど暴力的になることもあります。

そんなときでも、実は、そうなる前に、子供が怒る原因を取り除いておくことができる場合が多かったりします。子供の怒りの原因を親が作ってしまう場合は多いですよね…。子供のレベルに合わない厳しい躾など。

子供を怒らせる前に、怒りの原因を取り除き、できるだけ子供を「怒り」から遠ざける工夫をすることが大切だと気づきました。

私自身、その渦中にいるときは、日常生活で子供の怒りの原因を取り除いていたら子供を甘やかすことになりそうで、最初はなかなかうまく火種を消せませんでした。そもそも怒らせるつもりはなく「子供にとって必要なことだから言っているだけで(させているだけで)、怒る方が悪い」と言いたくなることって多いです。

ですが、子供を「より人間らしくしよう」「本能的でなく理性的な行動をとらせよう」と思えば、前頭葉を通る理性的な回路を鍛える前に、すぐにスイッチが入ってしまう活発な本能的な回路を起こさないようにする努力も必要になると痛感しています。なので、発達障害児の育児においては、急がば回れで、多少甘やかすように思えても、「怒らせない」「感情的にさせない」癖付けの方を優先すべきで、これによって、脳の中をいったんリセットでき、前頭葉の発達、さらには自我の成長を促すことができると感じます。

私の場合、「火種を消す」については少しずつ、少しずつ進めていきました。頭の中で「子供の脳の中の悪い回路を断ち切るんだ!」「本能的回路を起こさないようにしなくちゃ」と自分に言い聞かせ、必死に我慢して、子供を怒らせない方を優先してきました。もちろん、それでも、一日に何回かは子供を怒らせてしまい、大失敗も何度もありましたが、それでも諦めずに心がけていると、子供の怒る回数は少しずつ少しずつ減っていき、怒り方の激しさもダウンしてきました。「火種を消す」心掛けを持ち始めてから1年以上はかかりましたが、1年半を経過した今では、こちらが特別に我慢しなくても1度も怒らせないで過ごせる日が増えてきましたし、同時に、自己中心的な行為や我が儘も減ってきています。

また、「感情的になる」場面は、怒る場面だけではありません。何かを強烈に怖がったり嫌がったりする場合や、楽しすぎて興奮して暴れまわっている場合も、ある意味、感情的になっています。つまり、子供の理性的回路がうまく働かず、本能的な回路が強く反応してしまっている状態という意味では、「怒っている」場面と同じと言えるのではないでしょうか。なので、本能的な回路を弱めるためにも、そのような場面はできるだけ少ない方がいいのだろうと思います。子供が、不安、恐怖、怒り、悲しみ、過剰な興奮を感じる場面は、可能であれば、あらかじめ原因を摘み取っておくよう心がけるといいと思います。

親が感情的にならないための3つのイメージ

子供が感情的になる火種を消し取りきれずに感情的にさせてしまう場面は、日常にそれはそれはもう・・・多々あります。

そんなときは親も、イライラしたり、腹が立ったり、爆発しそうになります。でも、現在の育児では「叱らないで育てる」「褒めて育てる」などと言われるので、つい子供をきつく叱ってしまう自分が嫌になったり、「叱らない、怒らないなんて無理!」と投げやりになったり。。。

ですが、「親が感情的になると子供も余計に興奮して感情的になるから、感情的に叱るのは良くない」と昔からよく言われているところです。頭では分かっているつもりでしたが、それはつまり、子供を過度に興奮させて感情的にさせると、子供の脳が思考停止してしまい、思考や理性の回路である前頭葉を通らず直情的な行為に出やすくなり、子供を「人間らしさ」からますます遠ざけてしまうということなんだと改めて気づきました(恥ずかしながら、やっと…です)。親が常に落ち着くことで、子供を落ち着かせることができ、はじめて、意識や思考の脳領域である前頭葉が働く環境が整う、と再認識したんです。野生動物的・本能的な反応よりも思考的・理性的な反応が強くなるように親が見本となって我慢の方法を頭と体に覚えこませる、そんなイメージが大切なようです。

ただ、そこまで頭で認識できたとしても、発達障害児を育てる親にとって「感情的にならない」ということはなかなか出来ない、非常に難しいことではないでしょうか…。

そこで私は、次の3つのイメージを具体的に持つことを心がけ始めました。まだ努力中ですが…。実際、子供の癇癪、破壊的大暴れ、無茶言い放題、に悩まされてきた私でも、イライラが少し和らいだり、爆発しそうな心にブレーキをかけやすくなり、「感情的にならない」でいられるシーンが増えてきたと実感してきてます。

そのイメージは次の3つです。

  1. 子供の心をイメージします弱っている植物の根っこをイメージします。あるいは、いまだに地上に芽を出せないでいるひ弱な植物をイメージします。発達障害児に厳しい躾や叱責を繰り返すことは、土を踏み固めてますます根が伸びない、芽が出ない状態にしてしまうことだと思います。いたわりながら、弱っているところを守り修復し、強い根っこにすることで、その後の成長が期待できる、そんなイメージを持つよう心掛けています。
  2. 子供が問題行動を起こす理由を子供目線でイメージします

    子供を観察していると、私たちが見ている世界とは全く違う、あるいは少しズレた世界を見ている気がすることがあります。発達障害児からみた世界はどうなっているのか、発達障害児の感覚ではどのように感じるのか、など、子供から見た世界を探り、少しでも近づいて理解することができれば、子供の自己中心的な行為や衝動的な行動などにも、あまり怒りすぎることなく、少しは冷静になれる気がします。
    (詳しくはこちらも⇒「軽度発達障害児からみた世界(問題行動の仕組み)

  3. 親がどうしても感情的になる場面と対応を予めイメージしておきます私の場合、それは、他人に迷惑をかける行為(公共の場など)、急いでいるときに邪魔してくる行為、汚い行為、です。私の弱点とも言えます。「この場面では、自分はどうしても感情的になる」ということを認識し、出来るだけ寛大に穏やかに対応するイメージトレーニングをしておきます。もちろん、そんな場面を出来るだけ避ける努力も必要です。

子供に寄り添って安心させる

親が常に子供に寄り添って深い深い愛情で優しい視線を送り続けていれば、子供は大きな安心感に包まれて育ちます。これにより、子供は安定した落ち着きを取り戻し、日頃から物事を認知する際に脳の何かが「前頭葉に回ってみようかな」と思いやすくなる、そんな気がしています。

子供が感情的になってしまったときなど、叱ったり注意せざるを得ない場合でも、まずは、その子の実年齢ではなく精神年齢に合わせ、子供の気持ちを受け止めて共感し、心から子供を安心させ落ち着かせることができれば、本能的回路につながりそうになっていた子供の脳の中の回路を理性系に切り替えやすくなると思うのです。

「子供に寄り添って常に安心させてあげること」
それは
凍り付いてる前頭葉を陽だまりで
解かしてあげるようなもの

私はそんな風にイメージしています。

発達障害児にとって、前頭葉強化は、脳トレや訓練などで簡単に実現するものではないと感じます。凍てついた前頭葉にいくら種をまいても理性的回路の芽は出ないのではないでしょうか。やはり、そこにはハンディがある分、普通以上にお膳立てして前頭葉の環境を整えてやる必要があるようです。それができれば、適切な働きかけが前頭葉に届きやすくなり、よく機能する上質な前頭葉に成長するようになると思うのです。そうしてようやく自我の強化につながるのではないか、そんな風に思えてなりません。

私の反省

こんなことを書いている私も、「発達障害児は自我が弱い」ということを改めて知る最近まで、息子の自我の強化に無頓着でした。

もちろん、息子のことは可愛がってきましたし、子供に寄り添おう、スキンシップをはかって親子の絆を深めよう、などの努力はしてきました。怖がったり、怒ったり、感情的になっている息子に、「共感してあげなくちゃ…」と思い「分かるよ…嫌だったね…」などと言葉をかけるよう心掛けてもいました。

ですが、やはり心のどこかで「あー、もう大変!!」という気持ちがあり、心からの共感の言葉になっていなかったのではと思います。それは子供にも伝わっていたはずで、子供を心底から安心させてあげることが出来ていなかったと思うのです。

さらには、衝動的で自己中心的な行為を繰り返し、些細なことですぐに怒り、癇癪を起す息子に対しては、共感の言葉をかける余裕もなくなり、感情的に叱りつけたり、顔も見ずに言葉多く早口で叱ることも度々でした。そんなときは、母親として自分も追い込まれ「発達障害児の特性だから仕方ない。仕方ないから私が怒るのも仕方ない、親だって人間だもん」と開き直ったり、「どうして息子はこんなに短気で忍耐力がないのだろう」「前頭葉の鍛練にも限界があるのかなぁ」と落ち込むだけでした。問題行動の根底に「自我の弱さ」があり、それは子供を落ち着かせ安心させる親の心掛けで成長させることが可能なものだとハッキリと認識できていなかったのです。

「前頭葉の強化」は子育ての目標ではなく、その先に「自我の強化」という真の目標があり、この目標達成のアプローチとして、子供の精神発達の仕組みをもっと深く勉強しておくべきだったと後悔しています。

ですが、今からでも遅くはない、今より早いときはない! ですよね。

脳の臨界期を迎えていると思われる息子の場合でも、親の努力と愛情によって自我を強化できることを実証できれば、同じような悩みを抱えるお母さんたちの励みにもなりますよね!

なんてったって、脳の世界は未解明な部分が多く、可能性は無限大です∞

これからも、息子の前頭葉強化、自我強化のために親として修行していきます‼

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