軽度発達障害児の見立て遊び・ごっこ遊びについて

見立て遊びやごっこ遊びは子供の成長にとって非常に大切な遊びですが、発達障害児はこれが苦手と言われています。

一方で、小2になる息子はぬいぐるみが大好きで、最近でも、ぬいぐるみを使ったごっこ遊びに夢中です。

そこで、見立て遊びやごっこ遊びから垣間見れる子供の発達レベルと、発達障害児(自閉症児)特有の気になる点について考えてみたいと思います。

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見立て遊びやごっこ遊びで発達する子供の能力とは

まず、象徴機能です。(この象徴機能は、あらゆる能力の根本をなす脳の働きなので、次項でもう少し詳しく見ていきます。)

さらに、想像力、模倣力、創造力、思考力、役割認識、が発達します。

また、親や友達など他人を巻き込んだごっこ遊びをするようになると、他者視点、共感力、コミュニケーション力、規範意識などの社会性が発達します。

象徴機能とは

「象徴機能」とは、目の前にないものを頭の中にイメージすることができ、そのイメージを、別のもの(シンボル、象徴)と結びつけることができる力のことをいいます。

例えば、次のような遊びや行動は、全て象徴機能を獲得して初めて成り立つと言えます。

  • 人形遊びをする(頭の中の「人」のイメージと人形が結びついている)
  • ミニカーを本物の自動車に見立てて遊ぶ
  • 積み木を本物の自動車に見立てて遊ぶ
  • 「ブーブー」という音で車を表そうとする(「車」のイメージと「ブーブー」という音が結びついている)」
  • 「くるま」という言葉を、あの・・乗り物のイメージと結びついたシンボルとして認識する(言葉の習得)
  • スプーンをお皿やフォークとセットにする(頭の中にある「スプーン」「お皿」「フォーク」の使い方のイメージを目の前の物で再現しようとしている)
  • お母さんがカギを持つと玄関に一緒に向かおうとする(過去にあった同じようなシーンを思い出してイメージを結びつけている)
  • お母さんの仕草などを模倣をする(目の前にお母さんがいなくても頭の中にあるお母さんのイメージに基づいて模倣する)
  • おままごと、お店屋さんごっこ、戦隊ヒーローごっこなど、様々なものになりきって遊ぶ

定型発達のお子さんであれば、1歳前後に頭の中にイメージを描くという力が育ち、その後、そのイメージを別のものと結びつける象徴機能を獲得していきます。この象徴機能の獲得と同時期に言葉を習得し始めます。

その後、2、3歳頃に見立て遊び、模倣遊びが盛んに行われるようになるようです。

そして、4歳~7歳頃にかけて、役割を認識したごっこ遊び、他者を伴った劇遊び、創造性や工夫を要する遊び(組み立て遊びなど)、ルールのあるゲーム遊び、へと発達段階が進んでいきます。

つまり、「象徴機能」はあらゆる能力の根本をなす力と言えます。象徴機能を発達させていくことで言語想像力模倣して学ぶ力を獲得し、さらに、思考を巡らせる力、創意工夫する力、コミュニケーション力、共感力、規範意識…と、あらゆる能力の発達につながっていきます。

軽度発達障害児の見立て遊び・ごっこ遊びと親の関わり方

軽度の発達障害児に関しては、殆どの場合、言葉(語彙)を獲得しているので、象徴機能も獲得できていると考えられます。

であれば、見立て遊びやごっこ遊びは上手にできているでしょうか。

確かに、見立て遊びやごっこ遊びが出来ているように見えるケースもありますが、よく観察してみると、次のような特徴が見られることが少なくないようです。

  • 見立てができていない場合
  • 誰かの遊びの模倣にすぎない場合
  • 自分の内面のファンタジーを劇化しているに過ぎない場合

見立てができていない場合

積み木を車に見立てて遊んでいるように見えても、実は、本人は、目の前の積み木を積み木としてしか認識しておらず、その積み木を掴んで床の上で滑らせる遊びをしているだけの場合があるのです。積み木を車に見立てているわけではないので、競走させてみようとか、交差点で止まらせてみよう、などとイメージが膨らんでいかず、一定パターンの遊びでとどまる傾向があります。

このような場合は、初期の象徴機能は獲得できていても、頭の中に描かれた物と目の前のものとをイメージで結びつける力が弱いのかもしれません。つまり、目の前の積み木のイメージに引っ張られてしまって積み木を積み木としてしか見ることができず、車を想像することができない、ということだとすれば、やはり初期の象徴機能の次の段階の発達、つまり想像力の獲得に何らかの遅れが出ているのかもしれません。

想像力を高めるには、読書が効果的です。嫌がる場合は読み聞かせをするだけでも効果があるはずです。目や耳から入った文字情報から色々な場面を頭で思い描くときに想像力が育まれます。

そのほか、子供の年齢に応じた様々な言葉かけ働きかけによって、目の前にないものをイメージさせること目の前にあるものをイメージで捉えさせること、を心がけるとよいと思います。

例えば、目の前にないものをイメージさせる言葉かけは、「今頃パパは何してるかな?」とか、「もしも○○だったらどうする?」など、日常場面で色々と試せます。本人が「分かんない」と言ったら「ママはこう思う」とママのアイデアを見本として示し続けるだけでも効果があると思います。

目の前にあるものをイメージで捉えさせる言葉かけは、「ママは何色の服が似合うかな?」、色鉛筆を並べて「パパの色は何色?」、絵本を開いて「このページは春かな?夏かな?」、動物図鑑を開いて「怖そうな動物はどれかな?優しそうな動物はどれ?」、親がお絵かきして「これ誰に見える?」など、いろいろ考えられます。

誰かの遊びの模倣にすぎない場合

創造性豊かな見立て遊びやごっこ遊びをしているように見えても、どこかで見た誰かの遊びを模倣しているに過ぎない場合があります。

例えば、積み木で家を作っている場合でも、自分の頭の中にある「家」のイメージに基づいて作ったものではなく、誰かが積み木で作った家を真似して作っているだけの場合があります。

もちろん、学びは模倣から始まるので、模倣する力は大切ですし、模倣そのものが悪いわけではありません。どんな子供でも、沢山模倣しますもんね…。ただ、幼稚園に入る頃には、どこかに自分のオリジナリティを出そうとする場合が多いと思います。

一方、自閉傾向のある子供は、丸ごと模倣する傾向や、模倣したものに変更を加えることを拒む傾向があります。明らかに良いアイデアでも、一切受け入れずに改良しようとしない場合は少し気になります。

想像力の欠如からくる創造力の低さが原因かもしれませんが、あるいは、次にお話する自閉的ファンタジーに関係する問題かもしれません。

自分の内面のファンタジーを劇化しているに過ぎない場合

自閉傾向のある子供は、自分を中心とした自閉的世界を持っていると言われ、これを「自閉的ファンタジー」と表現することがあります。

自閉傾向のある子供は、内面の世界と外界との区別が曖昧であることから、現実と非現実の区別も曖昧になりやすい特性をもち、その内面の世界は独特で現実離れした世界であることも多いことから「ファンタジー」と表現されています。

常同行動や反復行動、強いこだわりが見られるときは、ファンタジーの世界に浸っている、とも言われます。

同様に、お友達と一緒におままごと等のごっこ遊びが始まったように見えても、実はファンタジーを劇化しているだけの場合があります。その場合は、一定の場面設定や一定のセリフに固執し、アドリブがきかない傾向があります。「○○と言ってー!」「〇〇してー!」とお友達に一方的な要求をし、お友達のアイデアやアドリブを受け入れられません。つまり、お友達とイメージを共有してアドリブでやりとりしながら一緒に遊びを作り上げていくことが難しいのです。この点で、本来のごっこ遊びとは本質を異にしています。

息子の今までの成長過程を振り返ってみると、お人形を使ったごっこ遊びはもちろん、それ以外の場面でも、やはりファンタジーの世界に引っ張られてしまっていると思われるシーンがいくつも浮かんできます。次回以降の投稿で、この自閉的ファンタジーの世界との付き合い方について考えてみたいと思います。

まとめ

子供にとって、見立て遊びやごっこ遊びは、象徴機能・想像力を高め、人のあらゆる知的活動の元となる能力を育む非常に大切な遊びです。

そして、この見立て遊びやごっこ遊びが上手にできているかどうかは、子供の発達状態を知るうえで重要なポイントの一つと言えると思います。

軽度発達障害児は、見立て遊び・ごっこ遊びを正しく出来ていない場合がありますが、想像力の欠如の問題なのか、内面のファンタジー世界の問題なのか、あるいはその両方なのか…子供の様子をよく観察して対応を考えていきたいですね…。

次回の投稿で、この自閉的ファンタジーと親の関わり方について考えてみたいと思います。

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